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中学生向け|俳句の作り方のコツと例【日常、学校生活、虹、夕焼けなど】

「俳句って簡単そうで難しい…。」

「どうやって作ればいいのか、わからない。」

「季語がよくわからない。」

国語で俳句を作る課題が出され、このような悩みに直面したことはありませんか?

この記事では、もと中学校の国語教員の経験をもつ私が、俳句の作り方を紹介します。

俳句は「5・7・5」の17音で表現され、世界一短い詩とも言われます。
そして、春夏秋冬を表す「季語」を入れることが特徴です。

たった17音、ルールは季語を入れることだけですが、作るのが簡単そうで難しいのが俳句です。

ここでは、俳句が作れないと悩む中学生に、以下のポイントを解説します。

・俳句の作り方のポイント
・俳句の作り方のコツ
・俳句の作り方の例【日常、学校生活、虹、夕焼けなど】

ここに書いてあることを実践すれば、身近な題材で俳句を作れるようになります。

それではさっそくいきましょう。

俳句の作り方のポイント

俳句の作り方のポイントは、「有季(ゆうき)定型(ていけい)」にすることです。

「有季定型」の「有季」とは季語を入れること、「定型」とは5・7・5の決まった型があることです。

俳句では一句に一つの季語を必ず入れ、5・7・5の17音で作ることで俳句らしくなります。

一句一季語が基本 一句に一つの季語を入れよう!

俳句では、一句に必ず一つの季語を入れます。

季語は季節を表すだけでなく、作った人の心情も表現します。
季語が二つ以上入る句もありますが、それは「季重なり」と呼ばれ、どちらの季語がメインなのかわかりにくいため、通常は避けられます。

季語は歳時記(さいじき)を使うと詳しく調べられます。
『歳時記』は、俳句で使う季語をまとめた事典で、季語ごとの解説とその季語を使った俳句が載せられています。

「こんな季語もあるのか」と発見もあるので、図書館で借りてみるのもよいでしょう。

『歳時記』が手元にない場合は、「春の空」「夏の風」「秋の雨」「冬近し」など、「春・夏・秋・冬」を入れて、季語とする方法もあります。

俳句には「5・7・5」のリズムがある 定型を守ろう!

俳句は「5・7・5」の17音でできた短い詩です。

17音より多いことを「字余り」、少ないことを「字足らず」と呼びますが、初心者のうちは、なるべく5・7・5の17音のリズムをくずさないように作ることがポイントです。

音数を守ることで俳句のリズムを生まれ、ことばの意味がスムーズに伝わります。

音数を確認する一番いい方法は、声に出して音読することです。
国語の授業で習った俳句やお気に入りの俳句を声に出して読んでみましょう。

(例)古池や蛙飛びこむ水の音(松尾芭蕉)

中学校では、
「分け入っても分け入っても青い山(種田山頭火)」
「咳をしても一人(尾崎放哉)」の自由律俳句も学習します。

自由律で作りたいと思う人もいるかもしれませんが、自由律俳句は「有季定型」の俳句が作れるようになってからチャレンジしてみましょう。

俳句の作り方のコツ

俳句の作り方のコツは、
「『取り合わせ』で作る」
「感情をそのまま言葉にしない」
「切れ字(「や」「かな」「けり」)を使ってみる」

ことです。

一つずつ詳しく見ていきましょう。

「取り合わせ」で作る 季語×季語以外のもの=オリジナルの俳句

季語と季語以外のものの二つを組み合わせて俳句を作ることを「取り合わせ」といいます。

季語だけを詠んだ俳句には、似た発想や同じ言葉を使った句が多くなります。

対して、季語と季語以外のものの二つの俳句の材料を組み合わせる「取り合わせ」は、思いがけない組み合わせが生まれ、その人ならではのオリジナルの俳句が生まれます。

同じ季語でも、取り合わせるものを変わることで、新鮮な表現が生み出されます。

有名な俳句もこの取り合わせの手法を使って作られています。

(例)

・古池や蛙飛びこむ水の音(松尾芭蕉)→「古池」×「蛙(夏の季語)」
   
・柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺(正岡子規)→「柿(秋の季語)」×「法隆寺」

感情をそのまま言葉にしない

「楽しい」「うれしい」「きれい」など感情をそのまま俳句に入れても、どの程度そう感じているのか読み手には伝わりにくいです。

たとえば、雨上がりの虹を見て、「雨上がり虹がかかったきれいだな」という俳句を作っても、読み手に虹を見た感動は伝わりません。

感情をそのまま言葉にするのではなく、感動した場面を具体的に表現し、感情は読む人に想像させることが大切です。

(例)

汚れたる顔みな上げぬ虹の輪へ(久保田慶子)

上の俳句は、「汚れた顔をみんなが上げて虹を見上げた」と情景だけを詠んだ俳句ですが、虹を見たときの感動や虹の圧倒的な存在感をしっかりと表現しています。

切れ字(「や」「かな」「けり」)を使ってみる

「や」「かな」「けり」は切れ字と呼ばれ、俳句の中にある意味や言葉の切れ目に用いられます。

切れ字を使うことで、俳句に余韻が生まれ、読み手の想像力をかきたてます。

「や」はどんな言葉にもつきますが、「かな」は名詞あるいは活用語の連体形に、「けり」は活用語の連用形につくという決まりがあります。

切れ字を使うことで俳句らしくなりますが、切れ字は「!」がつくほどの強い強調や詠嘆を表すので、一句に一つが基本です。

(例)

(しず)かさや岩にしみ(る蝉の声(松尾芭蕉) 
  
・ 名月をとってくれろと泣く子かな(小林一茶) 
  
・ いくたびも雪の深さを尋ねけり(正岡子規)

俳句の作り方の例【日常、学校生活、虹、夕焼けなど】

ここでは、俳句の作り方を具体的に紹介します。
季語が決まっていないときは、「12音の言いたいこと」+「5音の季語」で一句を作ります。

季語が決まっているときは、季語からイメージをふくらませて一句を作ります。
作り方のコツで紹介した「取り合わせ」の方法を使えば、誰でも楽しくあっという間に俳句を作れます。

ぜひ実践してみてください。

自由に俳句を作る場合【日常、学校生活を例に】

題材に指定がなく自由に俳句を作る場合は、「12音の言いたいこと」+「5音の季語」で一句を考えます。

「12音の言いたいこと」は、日常や学校生活にまつわることなどなんでもよく、身近な事柄を5音+7音または7音+5音の形で表現します。

季語はその俳句の印象を決めるので最後に決めます。
ここでは、日常、学校生活を題材に、4つの手順で俳句を作ってみます。

①日常や学校生活にまつわる言葉を5音で表現します。

5音のものの名前、4音+助詞を探します。

(例)5音:授業中、時間割、ペンケース、帰り道、など。

   4音+助詞:校庭に、教室で、友だちと、先輩の、など。

②その言葉を説明する5音または7音を考えます。

この12音の中に季語は入れません。

(例)〇〇〇〇〇〇〇+授業中→「みな前を向く 授業中」、「時計気になる 授業中」など。

   校庭に+〇〇〇〇〇〇〇→「校庭に 歓声響く」、「校庭に 影が伸びてる」など。

③ 5音の季語と取り合わせる。

5音の季語を考えます。

季節や情景を思い浮かべながら、「12音の言いたいこと」に合う季語を選びます。

季語は『歳時記』で調べる方法もありますが、「〇の空」「〇の風」「〇の雨」「〇近し」「〇の朝」「〇の午後」「〇の夜」など〇の中に「春・夏・秋・冬」のいずれかの季節を入れて季語にする方法もあります。

(例) ・春の風 みな前を向く 授業中

   ・秋の雲 時計気になる 授業中

   ・校庭に 歓声響く 夏の朝

   ・校庭に 影が伸びてる 冬の午後 など。

④推敲する

選んだ季語は自分の表現したい感情にあてはまるものになっているか、意味が重なっていないかなどを確認します。俳句は17音しか使えないので、同じような意味の言葉が重複しないようにしましょう。

(推敲前)春の風 みな前を向く 授業中
(新年度のそわそわした雰囲気や緊張感があふれる教室にあたたかな春の風が吹き渡る様子が伝わる。)

→(推敲後)冬の午後 みな前を向く 授業中

(普通なら眠くなる午後にみな前を向いているので受験前か。みなが前を向いて授業を聞くなか、自分だけが取り残されているような感覚が伝わる。)

季語を「春の風」から「冬の午後」に変えてみると、印象が変わります。
自分の表現したい内容にふさわしい季語を選びましょう。

季語が決まっているとき【虹、夕焼けを例に】

「□□という季語を使いましょう」「〇〇を題材にしましょう」など、最初からテーマが決められている場合もあります。
そのときは、イメージマップを使って、一つの言葉から発想を広げましょう。
ここでは、夏の季語「虹」「夕焼け」を使った俳句を4つの手順で作ってみます。

①季語からイメージを広げる

 季語を中心に書き、その季語から思い浮かぶ言葉を周りに書きます。

見たこと、感じたこと、自身の体験などを思い出し、さらに思い浮かんだ言葉から連想できる言葉を書き足していきます。

言葉が思い浮かばないときは、インターネットの画像検索を使って、題材となる季語の写真などを見て、発想を広げてもいいでしょう。
3~5分間を目安にイメージマップを作ってみましょう。

(例1)夏の季語「虹」



(例2)夏の季語「夕焼け」

②気になる言葉を選び、5・7・5にまとめる。

イメージマップで思い浮かんだ言葉から気になる言葉を選び、その言葉から情景や俳句に込めたい感情を思い浮かべて、5・7・5にまとめます。
なるべく連想が遠いものを選ぶと、取り合わせに意外性が出て、新鮮な俳句になります。

(例1)選んだ言葉:先輩

 →(情景や感情)夕立があり、雨上がりに虹がかかってきれいだった!片思い中の先輩と一緒に見たいと思った。

 →虹かかり 先輩探す 夏の午後

(例2)選んだ言葉:カラスが鳴く

 →(情景や感情)夕焼けの光が差し込む木々でカラスが鳴いていた。カラスも家に帰るのかな。

 →夕焼けの 差し込む木々に カラス鳴く

③推敲する

 季語を工夫する、語順を入れ替える、無駄な言葉を省く、などの推敲をして、自分の思いが伝わる表現に仕上げましょう。
その際には「俳句の作り方のコツ」で紹介した「感情を表す言葉を使わない」「切れ字を使ってみる」を試してみましょう。

 (推敲前)虹かかり 先輩探す 夏の午後

→(推敲後)先輩を 探し駆け出す 夕の虹

「虹」と「夏」の二つの季語が入っているので「虹」の一つに絞り、夕立の後にかかった虹は「夕の虹」で表現します。
語順を入れ替え、先輩を探す自分に焦点をあてました。

 (推敲前)夕焼けの 差し込む木々に カラス鳴く

→(推敲後)夕焼けや 家路をいそぐ 鳥の声

切れ字「や」を使い、季語「夕焼け」の印象を強めます。

また、「カラス鳴く」を「鳥の声」として、読み手に想像してほしいことや説明しなくても伝わることは省きます。

俳句の作り方 まとめ

・俳句の作り方のポイントは、「有季定型」で作ることです。 

一句に一つ季語を入れ、5・7・5の定型で作りましょう。

・俳句の作り方のコツは、
「『取り合わせ』で作る」
「感情を表す言葉を使わない」
「切れ字(「や」「かな」「けり」)を使ってみる」

です。

・俳句の作り方は、 
季語が決まっていないときは、「12音の言いたいこと」+「5音の季語」で作ります。 

季語が決まっているときは、季語からイメージをふくらませて作ります。

今回ご紹介した俳句の作り方を実践するだけで、日記をつけるような感覚で気軽に俳句が作れるようになります。

ぜひここで紹介した俳句の作り方を実践し、中学校生活のさまざまな場面を俳句にしてみてください。

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